徒然なるままにジョイフルトレイン その12 現美新幹線

2020年12月の引退が発表された「現美新幹線」。

登場時から先頭部の黒一色の塗装が話題を呼び、その後は新幹線が変形して戦う某作品に登場する車両になぞらえて「漆黒の新幹線」との別称もあるとかないとか。。。

どうしてもその「黒さ」に目が行きがちですが、側面はカラフルで、窓越しに見える車内のアート作品と併せてなかなかに華やかな印象です。 

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秋田新幹線「こまち」用に製造されたE3系を改造して上越新幹線の越後湯沢-新潟に投入された「現美新幹線」は、元々グリーン車だった11号車を座席はそのままに普通車指定席へ格下げし、12, 14-16号車は普通車自由席として開放されています。13号車にはプラレールで遊べるキッズスペースと物販カウンターが設けられています。

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新幹線としては珍しい「ジョイフルトレイン」ですが、他の新幹線や「とれいゆつばさ」と同様にマルスに収容されています。11号車の普通車指定席を確保すれば「現美新幹線」と印字された新幹線特急券を手にすることが出来ます。以前乗車した時は「いなほ」から乗り継いだので、券面に「乗継」の表記があります。

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乗継割引と同様にラッチ内乗継も適応になり、特急券も一葉券で発行されます。もちろん自由席特急券での乗車も可能です。

余談ですが、筆者の友人がたまたま長岡から新潟へ新幹線で移動しようとしてホームに上がったところ、この「現美新幹線」が現れ、ホーム上の駅員に自由席特急券で乗っていいものか尋ねてしまったといいます。

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6両編成唯一の指定席、11号車はグリーン車の設備をそのままに、モケットや床材などをロールシャッハ検査の様な模様に替えて、普通車指定席として活躍しています。座席のグレードとしては「乗り得列車」の部類に入るのでしょうが、1列車辺り20席弱しかないため、引退迫る今日この頃は指定席特急券の確保が難しくなっているようです。

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車窓を眺めるのではなく、車内に置いた作品を見せるという発想は斬新で、特に吊るされた展示物が車両の揺れに合わせて動く15号車や、窓から入る光の強さにより鏡材を用いた作品の表情が変わる12号車は鉄道車両ならではの展示だと思います。しかしながら、越後湯沢-新潟だと乗車時間は正味1時間。カフェで飲み物を買って、のんびり各号車の作品を見て回るには、個人的にはあとせめて30分、できればもう1時間くらい欲しいと思います。特に9月からは上下で絵柄の異なるポストカードを配布するようになったこともあり、 より慌ただしくなってしまっている印象です。もし、上越新幹線に第二の「ジョイフルトレイン」が現れるのであれば、もう少しゆったりと乗車時間の確保できるダイヤだといいように思うのですが、新潟支社さんいかがでしょう。