ふるさと納税できっぷを手に入れる

その趣旨や制度設計はともかく、様々な自治体が様々な返礼品で納税者にアピールする「ふるさと納税」。以前、北海道釧路町ふるさと納税について取り上げました。受け取ったきっぷは一般的なマルス券で、自動改札も何ら問題なく通過し実使用しました。

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 ところで、同じ北海道でも空知地方の一自治体に沼田町があります。

沼田町には留萌本線が通っており、以前は札沼線も石狩沼田までつながっていました。札沼線と言えば北海道医療大学-新十津川の廃止が記憶に新しいですが、札沼線の「沼」は石狩沼田の「沼」からとったものとされます。

石狩沼田駅簡易委託駅で、各種常備券、補充券の取り扱いがあります。2016年に訪れた時の様子は別の記事で取り上げています。

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町内にある真布、恵比島の両駅は無人駅で、恵比島駅連続テレビ小説すずらん」では「明日萌(あしもい)駅」として登場しており、今も駅の随所にその面影があります。

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きっぷに興味のある人や連続テレビ小説好きには縁のある沼田町ですが、2021年にふるさと納税の返礼品として「沼田町ふるさと応援きっぷ」が突如登場しました。1万円を寄付(納税)し、用途を「留萌本線の利用促進」に指定することで、100部限定の記念台紙に収めたきっぷを返礼品として受け取れるというものでした。

 

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これが実際に受け取った返礼品(表裏)です。石狩沼田駅で実際に発売している3種類の常備券(番号は伏せていますがバラバラ)と明日萌駅の(疑似)入場券が収められています。

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駅名下にある広告欄が当時のスポンサーである「サッポロビール」から「好きです 留萌本線」に変わっている辺りに芸の細かさと、公共団体としての配慮がみえます。

乗車券は発行から送付までタイムラグがあるため、「発行当日限り有効」の但し書き通り、実使用はできません。釧路町の返礼品だったノロッコ号の乗車券、指定券とは違い、沼田町の返礼品は完全に「記念品」という位置づけなのでしょう。

 

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明日萌駅の「入場券」と比較用のJR北海道の他の駅(網走)で発売していた硬券入場券を並べてみます。JR北海道が正式に発行したものではないので、駅名の前に「北」の表示がなく、値段の表記もないためかややすっきりした券面です。小児断線なども印刷されており再現性の高い「きっぷ」に仕上がっています。また、この「入場券」には常備券と異なり日付の印字はありませんでした。このためだけにダッチングマシンを用意するわけにもいかないでしょうから、そこまでは求めすぎと言うところでしょう。

 

2021年11月現在、ふるさと納税の返礼品のリストを見ると在庫切れになってしまっているようですが、裏を返せば100部の規定数は掃けたということでしょうから、沼田町にとって有効に使われることを願ってやみません。