快速「エアポート」

新千歳空港と札幌、小樽を結ぶ、JR北海道の稼ぎ頭、快速「エアポート」

かつては旭川からやって来た「スーパーカムイ」の特急型列車が札幌駅でそのまま「エアポート」に化ける運用もありましたが、2016年春のダイヤ改正をもってこの運用は取りやめとなり、721系、733系での運用に統一されています。

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721,733系では6両編成のうち1両が「Uシート」として回転式リクライニングシートを備えた指定席車両として設定されています。

721系の場合、自由席車両でも転換式クロスシートなので、そこまで設備差が目立ちませんが、733系の自由席はロングシートなので、その差が目立つことになりそうです。

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Uシート」へは運賃に加えて座席指定券(2021年7月現在530円)が必要です。かつては上の画像の様にもう少しお手軽な値段で乗れたのですが、2016年春のダイヤ改正で520円に値上げされ、2019年の消費増税に併せて530円となり今に至ります。経営の苦しいJR北海道にとっては数少ない収益性の高い運用でしょうから、少しでも増収にもつなげようとしているようです。乗車時間は30分ほどですが、混雑することも多い「エアポート」において、快適な着席サービスを確実に提供する対価として合理的な値付けと個人的には思っています。

 

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現在は沙汰止みになっていますが、インバウンド対策が声高に叫ばれていた時には、新千歳空港駅の発着機能拡張や「エアポート」の増発が叫ばれていました。これが現実になるとどうなるか分かりませんが、現状では「エアポート」の号数には他の列車ではなかなか見られない特徴があります。

 

時刻表を眺めてみると始発のエアポートでも50号、61号とすでに2桁で、朝晩を中心に欠番を挟みつつ210号、227号で終わっています。15分ヘッドの高頻度運転とはいえ、あまりに番号が大きく、定期列車としては不自然な欠番も目立ちます。

これは号数の百、十の位は新千歳空港駅および札幌駅の発車時間帯を示していて、一の位が発車順を表しているためです。下りに奇数で、1から9の順、上りに偶数で0から8と振られるのは他の列車と同様です。

例えば、新千歳空港を9時台に出発する3本目の「エアポート」は95号。札幌駅を17時台に出る2本目の「エアポート」は172号となります。現在は基本的には15分ヘッドで運転されているため、指定券を買う時に出発時間の見当をつけるのに便利と言えるかもしれません。

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朝夕に「特別快速 エアポート」が設定されるなど、攻めの姿勢も見られる一方で、近代的な外観の721系も初期車を中心にそろそろ車齢30年を迎え、札幌圏を出入りする車両の中では高齢な部類に入ります。すぐに置き換えが具体化することはないでしょうが、当たり前に見られた711系過去帳入りしてしまったように、いつかは「エアポート」にも世代交代が訪れるのでしょう。