阿佐海岸鉄道 DMV

 新年1本目の記事はきっぷ要素がほぼないですが、これからやってくるニューカマー(?)を取り上げたいと思います。 

 

 阿佐海岸鉄道JR四国 牟岐線海部駅から県を跨ぎ高知県の甲浦までを鉄路で結んでいました。2020年11月末をもって鉄道車両での旅客輸送を終了し、現在はJR北海道が開発したものの、お蔵入りしかけていたDual Mode Vechicle (DMV)への移行作業の真っ最中です。また、DMVの導入に伴い、阿佐海岸鉄道の起点が海部から阿波海南へ変更されることになります。

 日本初、世界初であるDMVの実用化に活路を見出そうとしている阿佐海岸鉄道ですが、2020年10月にJR四国ワープツアーが企画したツアーに参加し、運行開始前のDMVを見せてもらう機会があったのでその時の様子を。

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これが実際に阿佐海岸鉄道に導入されるDMVのうちの1両です。赤、青、緑の3色、3両構成でそれぞれに愛称が与えられるとのことです。

トヨタ自動車の「コースター」を改造し、前後に鉄車輪を格納できるようになっています。JR北海道が試験開発していた時は日産「シビリアン」だったと思うのですが、種車のメーカーが変わったのには何か理由があるのでしょうか…。

 

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道路→軌道→道路とモードチェンジも実演してくださいました。軌道モードのときは前方の鉄車輪が降り、やや後ろへ傾いた状態で走行します。前後の鉄車輪には駆動力は伝達されず、接地を続ける後輪のゴムタイヤで駆動するそうです。今は乗り心地を想像するしかないですが、やや後ろへ傾きながら走る鉄輪2軸4輪+ゴムタイヤ1軸2輪の乗り心地が今から気になります。

また、粘着性能を確保するためか、通年でスタッドレスタイヤを使用するとのこと。南国四国を走ることになるDMVが北国生まれであることを伝える小さな「迷」要素でしょうか。

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車内はスタンションポールがやや目立つ程度で至って普通のマイクロバスな印象。座席も2+1の配置でバスモードで使うであろうシートベルトや降車ボタンもしっかり装備されています。

見学を通して受けた印象としては、かつてのLE-Carをはじめとした「レールバス」よりもよりバス側へ振った鉄道車両だなと感じました。COVID-19感染拡大に伴い、諸々の準備、手続きが遅れてしまっているとのことで、残念ながら2020年度内の導入は延期され、2020年12月現在では2021年夏ごろの運行開始を目指しているようです。苗穂で生まれ、北海道から離れた四国で花開こうとしている新たな技術が、この地域における公共交通の起爆剤となってくれることを祈りたいと思います。