小田急電鉄 回数券廃止へ

 10枚分の値段で10枚分以上(多くは11枚綴り)の回数を乗車することの出来る「回数券」。大手私鉄を中心に普通回数券のほかに時差回数券、土休日回数券などバリエーションがある場合もありますが、片道普通乗車券の10倍の額面で発売することがほとんどです。

 しかし、小田急電鉄が従来の回数券の発想とは逆の、10枚綴りの企画乗車券を片道普通乗車券の10倍の額面よりも割安に発売する、「小田急チケット10」の発売を発表しました。

プレスリリースの画像を見ると、85mm券で発行される10枚綴りの乗車券のほかに、表紙が付くようで、現行のエドモンソン券タイプからJR各社で発売されている普通回数券に近い形になるようです。実際に自動改札機に投入する券は85mm券のみで、その券面は箱根湯寮クーポンなどと同様に他の企画乗車券に類似した表記となるようです。

 

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現在発売されているエドモンソン券タイプの回数券各種は「小田急チケット10」発売と入れ替わる形で発売終了となり、小児用の時差回数券、土休日回数券に相当する乗車券は設定されないことになります。 

 

参考までに、きっぷのストックを漁ってみたところ、小田急の回数券の中で一番古いものは平成12年(2000年)発売の普通回数券がありました。有効期限や発行個所の印字場所が左右で逆転していますが、表記されている内容は大差ないようです。

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参考までにJRで現在発売されている普通回数券の表紙と券面も載せておきます。

払い戻しなどの際に必要な【表紙】は120mm券、自動改札機にも投入可能で実際に「きっぷ」として使用する券は85mm券となっています。

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JRの旅客営業規則でも回数券を払い戻すときのほかに、使用する際にも【表紙】の携行が求められているようですが、形骸化しているのが現状です。「小田急チケット10」では【表紙】の携行がどれほど求められるのでしょうか。

 

交通系ICカードの利用が浸透し、券売機できっぷを買ってから乗ること自体が珍しくなっている地域もあるなか、底堅い利用数がある(であろう)回数券の改編に踏み切った小田急電鉄の決定は磁気券離れを加速させてしまうのか、はたまた割安に10回分のきっぷが手に入る、という分かりやすさと割安感が評価されるのか、他社が追随するかも含め気になるところです。