信州で孤軍奮闘する189系 おはようライナー

 新宿方の中央本線に「新型特急」としてE257系が投入されたのは2001年のことでした。置き換え対象となった183・189系のうち、あるものはそのまま引退し、またあるものは房総方面の特急運用へと転出、そしてまたあるものは波動輸送に充当され日々を過ごしていましたが、次第に廃車は進行し、いつしか絶滅危惧車扱いされるまでにその数を減らしていました。

 数年前からはグレードアップあずさ塗装やあさま塗装などのリバイバル塗装をまとい、話題を振りまいて来ました。ここ最近は首都圏に顔を出す運用があると、沿線にはカメラの放列が並び、充当される列車も満席になることも多いようで、話題性のある車両として多くの鉄道ファンから注目されている車両の一つでしょう。

f:id:goronto_akebono:20190108222847j:plain  そして183・189系最後の1編成が(平日限定ではありますが)長野の地で今日も走り続けています。それが今回取り上げる「おはようライナー」です。

 筆者が乗車した際には6割ほどの乗車率でした。新聞を読むサラリーマン風の中年男性や、コーヒー片手にパンをほおばる若年女性、イヤホンにスマホといかにも現代風な装備でうたた寝する大学生風のグループなど使い方は人それぞれでしたが、地元で「おはようライナー」の存在が定着しているような印象を受けました。

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 この列車には乗車するためには乗車整理券(310円)の購入が必要です。整理券は当日に「おはようライナー」各停車駅で発売されていますが、駅により整理券の発売形態に差があるのも興味深いポイントです。

 まず近距離券売機で整理券を購入すると、JRグループではおなじみのオレンジ色の地紋をした縦長の85mm券で発券されます。松本などのみどりの窓口で購入すると以前取り上げた「湘南ライナー」などと同様のイベント券扱いになるようで、120mmマルス券で発券されます。

 そして、松本駅の一部窓口や端末が設置されていない「おはようライナー」停車駅では常備券が用意されています。

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 実際に筆者が使用した乗車整理券です。

 券売機や窓口での購入へ誘導されてしまうのではないかと不安に思いながら購入を申し出たところ、こちらが拍子抜けしてしまうくらいあっさり発券してくださいました。車内でも常備券を持っている利用者を複数見かけたので、乗車整理券の発行方法として定着しているのでしょうか。

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 平日早朝の塩尻ー長野を走る列車のため、他の地域から直接乗りに行くにはハードルがやや高い列車ではありますが、それだからこそ「普段着姿の189系」を見られる貴重な運用だと思います。

 

 2019年3月のダイヤ改正をもって運用を終了する189系おはようライナー」。引退間際には多くの人が「おなごり乗車」のために集まってしまい、ともすると「騒ぎ」と言っていいくらい盛り上がってしまうこともありますが、どうか最後までいつも通りの静かな日々であってほしいと願わずにはいられません。