復路専用乗車券 (JR東海 名古屋駅)

 塩尻、中津川方面から中央西線からに乗り、東京方面の東海道本線を利用する場合、金山駅で折り返すこととして運賃計算をします。しかし「しなの」をはじめとした優等列車などは金山駅に停車しないため、名古屋駅中央本線の列車から上りの東海道本線(ないし東海道新幹線)へ改札を出ずに乗り換える場合には、特例として金山⇔名古屋の運賃は収受しないことになっています。

f:id:goronto_akebono:20200123004754j:plain

 松本から中央西線へ入り、奈良井から「中山道トレイン」を満喫。名古屋から東海道新幹線を利用したときに実使用した乗車券です。名古屋で改札を出ずにそのまま新幹線へ乗り換えれば、この乗車券だけで全く問題なく旅行を続けられるのですが、名古屋で友人と会う予定を入れていたため、画像の乗車券を名古屋駅清算窓口で提示して途中下車の希望を申し出たところ、乗車券の経路から外れる金山-名古屋の往復運賃を追加で清算する必要があるとのことでした。

 改札を出なければ待たせている友人にも会えないため、素直に言われた料金を支払ったところ、窓口氏から「自動改札機は通れないので、有人改札を通ってください」というコメントともにホチキス止めされたきっぷが手元に戻ってきました。

f:id:goronto_akebono:20200402223602j:plain

 ホチキス止めされていますが、非常にスムースに復路専用乗車券を手にすることが出来ました。ブログやSNSでの投稿画像を見ていると、発行個所により名古屋改の左隣に印字される数字が異なっているようですが、その違いが意味するところはいったい何なのでしょうか。

 

 釧路ー東釧路、苫小牧-沼ノ端と並び、数少ない復路専用乗車券でしたが、残念ながら、名古屋駅の復路専用乗車券は令和を待たずに設備廃止されてしまったようです。現在は前出しマルス券で金山-名古屋の往復乗車券が出てくると風のうわさで聞きましたが、真偽のほどは。。。

 

 

 

 

 

 

スーパービュー踊り子 1号車グリーン車

 2020年3月に「サフィール踊り子」としてデビューするE261系と入れ替わる形で運行を終了する「スーパービュー踊り子」とその専用形式として運用についていた251系。引退記念企画なども計画されており、機器の故障などに悩まされながらも、引退前の最後の輝きを放っています。

 アテンダントの乗務を前提とした乗降扉の配置やハイデッキ構造など、現在では実現することの難しい仕様がてんこもりのこの車両は先輩格に当たる185系よりも一足先に引退することになりそうです。

f:id:goronto_akebono:20200207005226j:plain

そんな251系「スーパービュー踊り子」号のデビュー当時は1,2号車はグリーン車、グリーン個室。3ー8号車が普通車指定席、9号車と展望席を除く10号車はグループ利用を想定した普通車指定席(固定式ボックスシート)という構成でした。2002年より実施されたリニューアル工事の際に普通車の座席の換装と9,10号車のボックス席設定を終了し、その際に塗装変更も併せて行われ、現在の姿となっています。

グリーン車については普通車のリニューアルから5年が経った2007年に座席の換装がなされ、定員が減少しています。
f:id:goronto_akebono:20200207005148j:plain

 そんなグリーン車の1号車展望室ですが、運転台から2号車方面を見る形で車内を眺めると写真のような1+2の座席配置となっています。2人掛け座席が海側でA,B席、1人掛けが山側でD席となっており、C席は欠番となっています。運転台側、伊豆急下田方面が1番で、デッキ、東京方が8番と付番されています。

 せっかくのハイデッキ展望席。一番いい眺望が得られる席に座りたいと思うのが人の気持ちのようで、えきねっとなどで空席照会すると最前列1番は埋まっていることが多いようです。「スーパビュ踊り子」と妙な略され方をしたこの特急券も「スーパービュー踊り子」が引退してしまうと、思い出の一ページとなってしまうことでしょう。

f:id:goronto_akebono:20200207003939j:plain

個人的な印象ですが、JR東日本グリーン車はこのスーパービュー踊り子などのように幅広の座席、シートピッチを備えた3列仕様があるかと思えば、普通車と一見変わらないような2+2配置を取ることもあり、やや一貫性が無いような印象を受けています。

 「いなほ」に充当されるE653系では普通車からグリーン車への転用改造の結果、グランクラスよりもシートピッチの広いグリーン車というものまであり、形式ごとの違いを楽しむこともできますが、反面、グリーン料金に見合う設備なのか首をかしげたくなるものがあるかもしれないと思うとギャンブル的な要素すら感じます。

 

f:id:goronto_akebono:20200207005124j:plain

まもなく伊東線伊豆急行に訪れる大きな変化の中で静かに歩みを止めて姿を消す251系。

 グリーンアテンダントサービスや1階下のサロンスペースなど、好景気の華やかな雰囲気を今に伝えながら、最後まで走り続けてほしいと願います。

復路専用乗車券 (JR北海道 釧路駅)

 「復路専用乗車券」は利用者が所持している乗車券の経路からはみ出す形で分岐し、折り返して分岐駅まで往復する場合に発売される乗車券です。

手元のJR時刻表では「分岐駅を通過する列車に乗車する場合の特例」に明記されている駅で下車する際が発券の条件かと思います。

 

国鉄時代には様々な駅で発売されていたようですが、現在ではJR北海道の釧路、苫小牧など、ごく限られた駅でしか発売されていないようです。JR東海名古屋駅での名古屋-金山の復路専用乗車券は前出しマルス券に変更になったとの話も聞きます。

 

f:id:goronto_akebono:20200519235056j:plain

 

釧路駅発行 釧路-東釧路 の復路専用乗車券です。発行年月日以外はすべて印字されている常備券での発売でした。 

f:id:goronto_akebono:20201230233043j:plain

 

2019年10月の消費増税直前に(夏休みをほぼ費やして)総販入場券とご当地入場券を買い求める旅に出た際に再度購入した復路専用乗車券です。

額面などは変化ありませんが、発行年月日が元号表記から西暦表記へと変更されています。

 

いずれの購入時も窓口で復路専用乗車券の趣味購入を申し出たところ、他に利用客がいないタイミングだったことも幸いしたのか、快く発券に応じてくださいました。

f:id:goronto_akebono:20200202183204j:plain

 簡易委託駅などではない、ターミナル駅で常備券を購入できるのは珍しいと思われますが、実利用が多くあるともなかなか考えにくく、末永く発売されることを願うばかりです。

小田急電鉄 回数券廃止へ

 10枚分の値段で10枚分以上(多くは11枚綴り)の回数を乗車することの出来る「回数券」。大手私鉄を中心に普通回数券のほかに時差回数券、土休日回数券などバリエーションがある場合もありますが、片道普通乗車券の10倍の額面で発売することがほとんどです。

 しかし、小田急電鉄が従来の回数券の発想とは逆の、10枚綴りの企画乗車券を片道普通乗車券の10倍の額面よりも割安に発売する、「小田急チケット10」の発売を発表しました。

プレスリリースの画像を見ると、85mm券で発行される10枚綴りの乗車券のほかに、表紙が付くようで、現行のエドモンソン券タイプからJR各社で発売されている普通回数券に近い形になるようです。実際に自動改札機に投入する券は85mm券のみで、その券面は箱根湯寮クーポンなどと同様に他の企画乗車券に類似した表記となるようです。

 

f:id:goronto_akebono:20200118153107j:plain

現在発売されているエドモンソン券タイプの回数券各種は「小田急チケット10」発売と入れ替わる形で発売終了となり、小児用の時差回数券、土休日回数券に相当する乗車券は設定されないことになります。 

 

参考までに、きっぷのストックを漁ってみたところ、小田急の回数券の中で一番古いものは平成12年(2000年)発売の普通回数券がありました。有効期限や発行個所の印字場所が左右で逆転していますが、表記されている内容は大差ないようです。

f:id:goronto_akebono:20200118152927j:plain

 

参考までにJRで現在発売されている普通回数券の表紙と券面も載せておきます。

払い戻しなどの際に必要な【表紙】は120mm券、自動改札機にも投入可能で実際に「きっぷ」として使用する券は85mm券となっています。

f:id:goronto_akebono:20200118153621j:plain

f:id:goronto_akebono:20200118153643j:plain

JRの旅客営業規則でも回数券を払い戻すときのほかに、使用する際にも【表紙】の携行が求められているようですが、形骸化しているのが現状です。「小田急チケット10」では【表紙】の携行がどれほど求められるのでしょうか。

 

交通系ICカードの利用が浸透し、券売機できっぷを買ってから乗ること自体が珍しくなっている地域もあるなか、底堅い利用数がある(であろう)回数券の改編に踏み切った小田急電鉄の決定は磁気券離れを加速させてしまうのか、はたまた割安に10回分のきっぷが手に入る、という分かりやすさと割安感が評価されるのか、他社が追随するかも含め気になるところです。

上田電鉄 城下駅と7200系

北陸新幹線しなの鉄道が通る上田駅から別所温泉駅までを結ぶ上田電鉄 別所線。

分岐していた路線の廃止や、「上田丸子電鉄」「上田交通」など数回の社名変更を経て現在の路線長、社名に至っています。

自社発注車の特徴的な戸袋窓から「丸窓電車」の愛称で親しまれている別所線ですが、2019年9月の台風19号により千曲川にかかる鉄橋が流出したため、現在は上田-城下間はバス代行、鉄道輸送は城下-別所温泉区間運転となっています。

台風被害からの復興に向けて取り組んでいる上田電鉄。2021年の運転再開を見込んでいるとのことです。

 

f:id:goronto_akebono:20200104235919j:plain

手持ちのきっぷを探してみたところ、城下駅の印字があるものが1枚ありました

ちょうど現在行われている区間運転の部分に相当する普通乗車券です。おそらく数年前の日比谷公園で開かれた鉄道フェスティバルで購入した使用済み券の中に含まれていたものと思われます。

消費増税の影響を受け、「運賃変更」「540円」がそれぞれ押印されています。

 

現在は元 東急1000系譲受した1000系/6000系で車種が統一されている上田電鉄ですが、2018年までは「ダイヤモンドカット」と呼ばれた前面形状が特徴的な元 東急7200系が主力として活躍していました。

別所線からは全車引退してしまった7200系。しかし、別所線を走ったことのある車両が長野からは離れた豊橋で今も元気に走っています。

f:id:goronto_akebono:20200105000533j:plain

 豊橋鉄道2810F。この編成の新豊橋方2両は上田電鉄での走行経験のある車両です。豊橋鉄道の車庫火災にともなう車両焼失を補う目的で、豊橋鉄道が部品取りとして確保していた車両と上田電鉄からの譲渡車両とを組み合わせて生み出された編成のようです。

 

思いがけない(であろう)形で東急→上田→豊橋と走る場所を転々とした2両。もといた上田にいた仲間たちよりも長く走り続けることになるとは思っていなかったことでしょう。

 

上田電鉄豊橋鉄道をはじめ、全国各地、津々浦々へ譲渡されていった東急7000系列。譲渡先での活躍期間のほうが長い車両も現れ、東急1000系東京メトロ03系などの18m級車体を持つ、より新しい車両への置き換えも進んでいます。ステンレスカーのパイオニアたちの活躍もそろそろ終着駅が近いのかもしれません。