片道だけど飯田線秘境駅号

 秘境駅の宝庫として有名な秘境路線、飯田線

18きっぷの季節になると、飯田線を走破する普通列車が混むとか混まないとか…、そんな都市伝説(秘境伝説?)のある飯田線普通列車の他に定期特急「(ワイドビュー)伊那路」が2往復が運転されています。

そしてほぼ各季節ごとに数日ではありますが臨時急行「飯田線秘境駅」号が運転されます。

その「飯田線秘境駅号」に乗る旅行商品がJR東海の子会社、東海ツアーズから発売されていたので、乗りに行ってみました。

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私が参加したツアーは先に「(ワイドビュー)伊那路」に天竜峡まで乗り、ガイドツアーを1時間ほど楽しんでから秘境駅号に乗り豊橋へ向かうものでした。

 

秘境駅号に充当された列車はいつも通りの373系。今の「(ワイドビュー)伊那路」や「(ワイドビュー)ふじかわ」の他に、かつては「ワイドビュー東海」や「ムーンライトながら」、愛称の特にない乗り得普通列車として大車輪の活躍を見せていましたが、かつての勢いは鳴りを潜めているようです。

車内はフリーストップリクライニングシートが並び、デッキがないことと両開きの幅広ドアを除けば特急列車そのもの。

今や懐かしい響きを帯びる「急行」の運用に入るには充分な装備が備わっています。

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秘境駅号はその名の通り、乗降客数の見込める駅ではなく「秘境駅ランキング」上位の駅に止まり、駅ごとに停車時間は異なりますが散策タイムも設けてくれます。

秘境駅独特の「何もない」という空気感を山間のあっつい空気と一緒に身体に染み込ませながら列車は一路豊橋をゆっくりと目指していきます。

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秘境駅として名高い「小和田」駅と秘境駅号。

いつもの「(ワイドビュー)伊那路」運用では当然ですが通過してしまうので、しっかり止まっている373系と駅舎の組み合わせは秘境駅号ならではなのでは…?

 

東海ツアーズのスタッフの方や秘境駅号の車掌さん、また沿線の皆さんまで。運転に関わる皆さんのおもてなしの気持ちが伝わってくる、温かい片道秘境駅号の旅でした。

 

(きっぷ収集もしている筆者としては、団体での乗車だったので自分の座席分の指定券が手元に残らなかったのが残念な点ですが、一般販売枠は10時発売即完売が定番の様ですので、乗れただけでよしとすることにします…。)

徒然なるままにジョイフルトレイン その4

 

ご無沙汰気味になってしまっているジョイフルトレインシリーズ。まだまだ津軽海峡を渡ることはせずに、道内の列車を紹介していきます。

今回は道内最大の駅、札幌にも乗り入れていたSLニセコ号です。

札幌から小樽を通り、「山線」の愛称もある函館本線余市ニセコ蘭越まで向かいます。

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編成はSL+旧型客車+DLのプッシュプル編成。

列車は蘭越まで運転されますが、指定席扱いなのは倶知安まで。

車内では停車駅や到着時刻の案内のほか、車窓から見える景色の解説や、駅周辺の観光地の案内もありました。

倶知安からは全車自由席の快速列車になります。なんという乗り得な列車(笑)

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SLニセコ号のDL側@小樽駅。DE15ということは冬になればラッセルヘッドをつけて除雪に大活躍するのでしょうね。

 

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筆者が乗車した時は秋のハロウィン直前だったので(?)、ニセコ駅には大量のカボチャたちが…(笑)

この時はまだきっぷに対する興味があまりなかったので、窓口には寄らずに手ぶらで撤退。今考えれば常備券や観光入場券など仕入れるべき裏白のきっぷがたくさんあったのに………。

 

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ヘッドマークに「HOKKAIDO Railway Company」の文字を誇らしげに掲げて走っていたC11-207。まさか関東で再会することになるなどとこの時は思うはずもなく…。

 

保安装置の関係で、札幌、函館などでの運行は当面の間厳しいという話も聞こえるJR北海道のSL列車。

北海道随一の大都市、札幌に乗り入れていたSLニセコの乗客数は多かった事と思いますが、安全を軽視することは許されませんし、現在のJR北海道を取り巻く現状を考えた時、観光列車に注力することが出来ないことも充分理解できます。

現状では道東での運行に限られSLも1両に限られてしまっていますが、末永くその1両が走り、愛されることを願っていますし、願わくば苗穂で長い眠りについているC62の復活が実現せんことを……。

 

真岡鉄道のSL減車?!

先日、下野新聞に「SL 1台廃止へ 真岡鉄道が譲渡検討」という見出しの記事が掲載されました。

記事によれば、真岡鉄道ではSL利用者の減少やSL老朽化に伴う維持費の上昇を理由に、現在の2台体制の継続を断念する方向で検討し、1両については静態動態を問わずに譲渡先を探しているとのこと。また、慢性的な赤字が続く真岡鉄道の在り方について実務者レベルでの検討チームを立ち上げることも併せて報じられています。

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偶然ですが筆者は6月初旬に真岡鉄道を訪れてSLに乗車しました。

その時はDLが検査入場していたからか、SL+客車+SLのプッシュプルの形になっており、貴重なものを見たものだと満足していたのですが、今般の報道が現実となり、SLが1両のみになってしまった際には、こういったSLによるプルプッシュを見ることは出来なくなってしまうのですね。

 

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引退が噂されているのは2台あるうちのC11-325。

SL大樹としてJR北海道から「貸与」され、東武鉄道(故障しながらも)運行されているC11-207の後輩にあたる車両です。

真岡鉄道のSLはたびたびJR東日本へ貸し出され、東日本各地のSL臨時列車とし運転されてきた実績があります。

筆者も2015年秋に運転された、C11-325が牽引する「SL 山形日和。左沢線号」に乗車し、左沢線デビューをした記憶があります。当時の写真を掘り出してみました。

 

SLの中では小型に分類され軸重なども他の形式に比べると制限が少ないためか、様々な路線に乗り入れ、運転実績のあるC11の実働車両が減ってしまうことは残念なことです。

 

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上の写真にあるように、C11-325をはじめとした車両が走る第三セクター真岡鉄道は開業から30年の節目を迎えています。これは特定地方交通線として指定され、国鉄(→JR)から分離した形での鉄路存続か、バス転換かを迫られたあの時代から30年以上が経過していることを意味しています。

 

また、平成に入り相次いだSLの復活もひとつの曲がり角に差し掛かっているのかもしれません。

一度は引退した機関車を整備し復活させ、維持し続けることには膨大なエネルギーが投じられているはずです。SLの存在が当たり前だった時代を知る整備士さんも少なくなり、保守部品の確保困難も併せ技術的な問題も多く存在します。

その一方で全国に復活蒸機が見られるようになり、各々がそのキャラクターをはっきりさせてきている今、スポット的に運転される臨時のSLを除けば「ただそこにSLが走っている」というだけでは乗客を充分に集められなくなってきているのかもしれません。

 

厳しい書き方かもしれませんが、「昔懐かしい、かつての姿をそのままに」といったスタイルの運行は、集客という面では今後は厳しくなるのかもしれません。

突発的に設定されるSL列車はすぐに満席になりますが、毎週のように運転され、客車や機関車に目立った装飾のない形で運転されているSLもおかJR東日本のSLみなかみ、SL碓氷に空席が目立っている現状はそれを伺せる状況なのではないでしょうか。

 

下野新聞の記事の後、真岡鉄道からの公式な発表がない現時点では、私が述べている上記の記事はすべてが仮定に基づいたものですが、平成が終わらんとしている今、真岡鉄道を取り巻く環境は大きく動き出しているのかもしれません。

富士にある「富士」を見に

休日にしてはまぁそこそこな時間に活動開始できたので、前から気になっていた、富士急行 下吉田駅の展示車両を見るべく、ふらっとお出かけをすることに。

 

あまりに無計画、行き当たりばったりで出発してしまったため八王子で10分後に到着する特急の存在をスルーして快速列車をチョイス。結果として大月到着が30分以上遅れてしまいましたが、なんとか大月に到着。

 

大月駅構内の留置線で昼寝している車両を眺めつつ普通列車に乗り、一路下吉田駅へ向かいました。

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何度か列車交換を繰り返しながら、下吉田駅に到着。

大月方面から向かうと、ホームに入る前に保存客車の姿を拝むことができます。

駅自体は明るめな木目が印象的で、出入り口にはロゴマーク入りの暖簾…。

このところ全国各地で展開されている(個人的には食傷気味な)水戸岡デザインなようです。

 

さて、気を取り直して、お目当ての保存車両に会いに行くことに。

下吉田駅 ブルートレインテラス」と名付けられているこの広場は、富士急ゆかりの車両と「富士」つながりということで、14系寝台客車が保存されています。

 

車内に入れるのは14系客車のみ、169系は生くびカットモデルだったりとややこじんまりした印象ですが、有効な乗車券、入場券を持っている旅客は無料で入れるというお得なスポットだったりします。

しかも、ブルートレインテラスへの入場に際して入場証、ないし専用入場券を窓口で交付されますが、それが14系客車が描かれたD型硬券という充実っぷり(笑)

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ブルートレインテラス」の名の通り、展示車両の主役である14系寝台客車。

 

カーテンやリネン類など、撤去されてしまっているものもありますが、基本的には現役当時のまま。

私が訪ねた際は他に来場者もいなかったので、いわゆる「ヒル区間」を独占しているような雰囲気でした。

はまなすやあけぼので開放寝台に何度となく乗った経験があるので、通路側の補助いすに座って列車の往来を眺めているだけで、ここに来た価値があったなと思ってしまいました。

 

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駅舎を挟んで反対側に展示してあるのがフジサン特急で使用されていた富士急2000系。

もとは国鉄(→JR東日本)のジョイフルトレイン「パノラマエクスプレス アルプス」です。

これでもかと言うくらい富士山をモチーフにしたキャラクターが描かれていてインパクト充分。

153系から始まる国鉄急行型の末裔として姿を変え、走る場所を変えて走り続けてきましたが、今はこうして後輩たちが行き交う様子を見守っています。

 

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14系客車のそばに展示されている国鉄急行型車両169系。

165系ファミリーの一員で横川-軽井沢での電気機関車との協調運転に対応した形式ですが、こんなブログをご覧になる皆さんはご存知のことでしょう。

恐らく、フジサン特急用2000系を導入する際に部品取り用として富士急入りし、富士吉田(現 富士山)駅構内の側線で留置されていた車両を整備したものなのでしょう。

 

このほかにも、数両の貨車が展示(留置?)されています。また、駅併設の下吉田クラブと名付けられた喫茶店は高い天井と水戸岡デザインではおなじみの「木のあたたかさ」を感じられる開放的な空間で列車の時間までゆっくりとお茶やコーヒーを楽しむことができます。

 

丸一日、ここで過ごすのはさすがに厳しいところがあるかと思いますが、鉄分の濃い方ならば満喫できる空間なこと請け合いな下吉田駅なのでした。

kenji さよなら運転

 

 7/21にびゅう旅行専用商品として企画された kenji さよなら運転の第一弾に運よく参加できたので、その時の様子などを…。

 

意識低い系乗り鉄の私は、発売即完売だろうと考え申し込むことさえ躊躇しました。

しかし、たまたま発売当日に仕事の予定がぽっかり空いて、しばらくフリーに。

しかも車で少し移動すればびゅうプラザのある駅に行ける…。ということで咄嗟に思いついて申し込んでみました。そして運のいいことに座席を確保してもらえたのでした。

翌日には飯田線秘境駅号の乗車を控えていたので、大変慌ただしい週末になってしまいましたが、おなごり乗車と飯田線秘境駅めぐりを一気に履修できたので、豊作でした。

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さて、題名のさよなら運転企画は東北本線の盛岡ー一ノ関をkenjiで往復するプランです。一ノ関でどこかへ観光に行くでもなく、途中駅で停車し地元の方々からおもてなしを受けるでもなく、ただひたすらにkenjiに乗車するという完全に乗り鉄の方向を向いている企画な気がします。

 

車内ではstaffの皆さんが乗車記念証や観光パンフレット、今回の旅行商品限定の掛け紙が掛かった駅弁を配って回っていましたが、基本的にはのんびりとした時間が流れていたように思います。

kenjiでの車窓を楽しむ人、カメラを持って車内の各所を探検する人、スピーカーや連結部にモフモフのマイクを向け、録音に勤しむ人…。各々がある程度は目的を達成して下車できたのではないでしょうか。

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2号車の特徴的な座席配置も、もう間もなく見納めです。

実際にこの座席が向い合せになり、車座のように使われた機会はどれほどあったのでしょう…。

職場の慰安旅行などの時は、ここで幹事さんたちが相談していたのかもしれませんね。

はたまたおじさんたちが互いにお酒を勧め合いながら盛り上がっていたのでしょうか。

 

9月にも運転が予告されているからか、引退や今回の団臨の発表から日が浅かったからか、駅のホームも東北本線沿線も、カメラを構える人の姿は見えましたが、特に大きな混乱なくスムーズに撮影できていた印象でした。

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JRの路線上で稼働している唯一のキハ58・28系列であるこのkenji

切妻形で平面ガラスを組み合わせた前面が残る連結面であったり、北海道のアルファコンチネンタルエクスプレスの流れをくむ前面形状。天井にポコポコと並ぶ冷房装置など、ファン各々で見るべきところはいろいろあるかと思いますが、最後までkenjiが大きな故障なく走り続けられることを願っています。

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個人的にはこれがkenjiとのお別れ乗車だと思われるので、米沢散策トレインや三陸鉄道へ直通する臨時快速など、かつて乗車した際の思い出などを振り返りながらゆっくり過ごしました。また、復路でお隣になり、twilight express 瑞風のクリアファイルをくださった素敵な同業者さんには改めてお礼を是非申し上げたいのですが、連絡する術もなく…。本当にありがとうございました。

この気ままなブログをご覧になっているとはとても思いませんが、本当に感謝しています。